脳の病気・症状
Brain disease
脳ドックで頭痛の原因がわかる?脳神経外科を受診すべき?

脳ドックでは、MRIやMRAなどの画像検査で脳や血管の状態を詳しく調べることができます。命に関わる重大な病気の早期発見に役立ちます。
「頭痛があるから調べたい」という理由で脳ドックを希望される方がいますが、頭痛の原因が必ず脳ドックで明らかになるわけではありません。頭痛の中には画像検査で異常を見つけるのが難しいものもあるのです。
本記事では、脳ドックでわかることをわかりやすく解説します。命に関わる頭痛の特徴や検査費用もまとめているので、原因不明の頭痛でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
原因不明の頭痛は医療機関に相談を

頭痛は日常的に多くの人が経験する症状ですが、その原因は一つではありません。デスクワークによる肩こりやストレス、睡眠不足などが関係することもあれば、まれに脳の病気が隠れているケースもあります。
一般的に、片頭痛や緊張型頭痛といった一次性頭痛は命に関わることは少ないとされています。ただし、これまでと違う頭痛や痛みが急に強くなる頭痛は注意が必要です。
こうした頭痛は二次性頭痛(病気が原因の頭痛)の可能性があり、放置すると重篤な状態につながることもあります。自己判断で様子を見るのではなく、違和感がある場合は早めに医療機関へ相談することが重要です。
頭痛は何科を受診すべき?
脳の病気が疑われる場合や、原因をしっかり調べたい場合は脳神経外科が推奨されます。MRIやCTといった画像検査を用いて、脳腫瘍や脳出血、脳梗塞などの有無を確認できます。
慢性的に続く頭痛や、片頭痛・緊張型頭痛が疑われる場合の第一選択肢は頭痛外来、または脳神経内科です。薬物療法や生活習慣の見直しなど、継続的な管理を行います。
また、発熱や咳、のどの痛みなど風邪症状を伴う場合は、感染症が原因の可能性もあるため内科を受診するケースもあります。
どの科を受診すべきか迷う場合は、「急な強い頭痛かどうか」「神経症状があるかどうか」を目安に判断するとよいでしょう。
脳ドックはあくまで無症状の方を対象とした予防目的の検査であり、現在起きている症状の原因を詳しく評価するための検査とは位置づけが異なります。緊急性が疑われる場合は、ためらわず救急受診を検討してください。
命に関わる頭痛の特徴
頭痛の中には、早急な対応が必要な危険なサインが含まれていることがあります。特に以下の症状がみられる場合は注意が必要です。
- これまでに経験したことのないような激しい頭痛
- 強い吐き気や嘔吐を伴う
- 手足のしびれや脱力がある
- ろれつが回らない
- 言葉が出にくい
特に片側の顔や手足の麻痺・しびれは脳卒中のサインの可能性があり、緊急性が高いと考えられます。意識がもうろうとしていたり、呼びかけに反応しないときは、様子を見るのではなく速やかに医療機関を受診しましょう。
脳ドックで頭痛の原因がわかる?

脳ドックでは、MRIやMRAといった画像検査を用いて、脳や脳血管の状態を詳しく確認できます。脳腫瘍や脳動脈瘤、脳出血・脳梗塞の初期変化などは、画像検査で把握できる代表的な疾患です。
脳ドックは予防目的の検査であり、自覚症状のない状態の病気を発見するのに役立ちます。
一方で、全ての頭痛の原因が脳ドックで明らかになるわけではありません。片頭痛や緊張型頭痛といった一次性頭痛は脳の構造そのものに異常がないケースが多く、MRIなどの検査でも異常所見が見つからないことが一般的です。
脳ドックの検査内容
脳ドックの中心となるのは、MRI検査とMRA検査の2つです。
MRIは脳の断面を詳細に描出できる検査で、小さな脳梗塞や腫瘍、脳萎縮などの構造的な変化を確認するのに適しています。放射線を使用しないため、検査による被ばくの心配がありません。
一方、MRAは血管に特化した検査で、脳動脈瘤や血管の狭窄・閉塞などを評価するために行われます。脳ドックで用いられる頭部MRA(TOF法)は造影剤を使わずに血管の状態を確認できる点が、MRAならではのメリットといえるでしょう。
医療機関によっては、頸動脈エコー(超音波検査)を組み合わせることで、首の血管の動脈硬化やプラークの有無を確認することもあります。
脳ドックでわかること
脳ドックでは、症状が出る前の段階で脳の異常を発見できる可能性があります。
代表的なものが、未破裂脳動脈瘤です。自覚症状がないまま存在していることも多く、脳ドックの画像検査で偶然見つかるケースも少なくありません。
また、無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)のように、自覚症状がないまま脳にダメージが蓄積している状態も確認できることがあります。脳腫瘍や慢性的な血流障害、脳の萎縮なども、脳ドックの評価対象となる病気です。
これらの異常が見つかったとしても、すぐに治療が必要となるわけではありません。大きさや進行度によっては経過観察となることもあり、治療の方向性は専門医によって総合的に判断されます。
脳ドックのメリット・デメリット

脳ドックは全ての人に必要とされる検査ではないため、受けるべきかどうかで悩む方が多くいらっしゃいます。脳ドックにはメリットだけでなくデメリットもあるため、検査の内容を理解したうえで判断することが重要です。
ここからは脳ドックのメリットとデメリットを詳しく解説します。
脳ドックのメリット
脳ドックの最大のメリットは、自覚症状がない段階で脳の異常を発見できる可能性があることです。脳の病気の中には症状が出る前に進行するものも多く、気づいたときには重症化しているケースも少なくありません。
例えば、脳動脈瘤は破裂するまで無症状であることが多く、破裂するとくも膜下出血を引き起こすリスクがあります。脳ドックによって未破裂の段階で発見できれば、経過観察や予防的治療といった選択肢を検討できるようになります。
また、無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)も、脳ドックで見つかる代表的な所見の一つです。自覚症状がなくても脳にダメージが蓄積している状態であり、将来的な脳梗塞や認知機能低下のリスクと関連することが指摘されています。
脳ドックは、生活習慣を見直すきっかけにもなり得る検査です。脳に重篤な病気がないことが確認できれば、安心材料のひとつになるでしょう。
脳ドックのデメリット
脳ドックは自由診療のため、1回の検査で数万円程度の費用がかかります。検査内容やオプションによってはさらに高額になる場合もあり、定期的に受けるには費用負担が大きいと感じることがあるかもしれません。
また、小さな脳動脈瘤や軽度の血流変化などは、すぐに治療を行うわけではありません。経過観察となれば「異常が見つかった」という不安だけが残り、心理的ストレスが増す可能性もあるでしょう。
さらに、近年は過剰診断のリスクについても指摘されています。臨床的に問題とならない軽微な異常まで拾い上げてしまうことで、不必要な追加検査や通院につながる場合があります。
脳ドックの費用

脳ドックの費用は一律ではなく、医療機関や検査内容によって大きく異なります。基本となるMRI・MRAのみのシンプルなコースから、頸動脈エコーや血液検査、認知機能検査などを組み合わせたコースまで幅があり、内容に応じて料金が変わります。
一般的な目安としては、MRI・MRAを中心とした基本的な脳ドックの費用相場は2万〜5万円程度です。オプションを追加した場合は5万〜10万円程度になるケースもあります。
なお、当院では、MRI・MRAをセットにしたコースをご用意しています。
| コース | 料金(税別) | 検査内容 |
|---|---|---|
| 通常コース | 22,000円 |
|
| ペアコース | 18,000円/人 |
|
※ペアコースは2名以上でのご予約が対象です。ご家族やパートナーと一緒に受診されたい方におすすめです。
脳ドックは保険適用外
脳ドックは症状がない段階で受ける「予防目的の検査」であるため、基本的に健康保険は適用されません。いわゆる自由診療となり、費用は全額自己負担になります。
そのため、同じ検査内容であっても医療機関ごとに料金設定が異なります。人間ドックのオプションとして提供されているケースも多く、企業の健康診断や自治体の補助制度を利用できる場合もあります。
自治体によっては助成金が出ることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
再検査は保険診療になる
脳ドックの結果で異常が疑われた場合は、医療機関で再検査や精密検査が行われることがあります。この場合は、病気の診断や治療を目的とした検査となるため、健康保険が適用されます。
具体的には、脳動脈瘤が疑われた場合の詳細な画像検査や、脳梗塞の評価のための追加検査などが該当します。自己負担割合(1〜3割)に応じて費用が軽減される点は、脳ドックとの大きな違いです。
ただし、再検査の内容や回数によっては一定の費用がかかるため、結果説明の際に今後の検査方針や費用の目安についても確認しておくと安心です。
まとめ

脳ドックは全ての頭痛の原因を突き止める検査ではなく、脳に重大な異常がないかを確認するための検査という位置づけです。
脳腫瘍や脳動脈瘤、無症候性脳梗塞といった疾患の早期発見につながる可能性がある一方で、片頭痛や緊張型頭痛のように画像では異常が見つからないケースも多くあります。
重要なのは、いつもと違う頭痛がある場合には、できるだけ早く医療機関を受診することです。気になる症状は自己判断で放置せず、専門医に相談することをおすすめします。
平尾病院では、高性能MRIによる脳ドックを行っております。ご家族やパートナーと一緒に受けられるペアコースもご用意しておりますので、脳ドックを検討している方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
平尾病院 医師 三木 浩一
大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。
専門資格
- 医学博士
- 日本頭痛学会 専門医
- 日本脳神経外科学会 専門医
- 日本脳卒中学会 専門医
- 日本認知症学会 専門医
略歴
- 帝京大学医学部 卒業
- 福岡赤十字病院 勤務
- 福岡大学病院 勤務
- 福岡大学救命救急センター 勤務
- 釧路労災病院 勤務
- 福岡東医療センター 勤務
- 白十字病院 勤務
- 平尾病院 勤務
所属学会
- 日本頭痛学会
- 日本脳神経外科学会
- 日本脳卒中学会
- 日本リハビリテーション医学会
- 日本認知症学会