脳の病気・症状

Brain disease

脳ドックを受けた方がいい人の特徴。検査でわかることや費用まとめ

白髪交じりの人物が医療機器のベッドに仰向けに横たわり、頭部に位置合わせ用の赤いレーザー光線が照射されている

脳ドックは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳の病気に関わる異常をチェックできる検査です。自覚症状がないまま進行する病気のリスクを把握する手段として活用されています。

「自分も受けた方がいい?」「健康診断との違いがわからない」といった疑問にお答えするため、本記事では脳ドックの基礎知識をまとめています。検査でわかることや受けた方がいい人について解説しているので、脳ドックに関心がある方はぜひ最後までお読みください。

脳ドックとは

医療用MRI装置のベッドに仰向けで横たわり、検査を受けている患者

脳ドックとは、MRIやMRAといった画像検査を用いて脳や脳血管の状態を詳しく調べる検査です。自覚症状がない段階でリスクを把握することを目的とし、一般的な健康診断では把握しにくい脳の異常を確認できるメリットがあります。

特に、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳卒中は、発症すると重篤化しやすい疾患です。発症前に兆候を捉えられる可能性がある点で、脳ドックは予防医療の一環として活用されています。

脳ドックの検査内容

脳ドックでは、主にMRI検査とMRA検査が行われます。

MRI検査
磁気を利用して脳の断面を撮影する検査。脳の構造や小さな病変、出血の跡などを詳細に確認できる。
MRA検査
脳の血管の形や狭窄、動脈瘤の有無などを評価する検査。身体への負担が比較的少なく、造影剤を使わずに血管の状態を確認できる。

医療機関によっては、首の血管の動脈硬化を確認する頸動脈エコーや、生活習慣病のリスクを評価する血液検査、認知機能の簡易チェックなどが追加されることもあります。

検査時間は30分〜1時間程度で、いずれの検査も痛みはほとんどありません。ただし、MRIは大きな音がするため、閉所が苦手な方は事前に相談しておくと安心です。

脳ドックでわかること

脳ドックでは、症状が出る前の段階でさまざまな異常を発見できる可能性があります。以下に脳ドックでわかる病気・異常をまとめました。

無症候性脳梗塞
自覚症状がない小さな脳梗塞。将来的に脳梗塞を発症するリスクが高まる可能性がある。
脳動脈瘤
脳の血管の一部が膨らんだ状態。破裂するとくも膜下出血の原因となる。
脳腫瘍
脳内にできる腫瘍。良性と悪性があり、場所や大きさによって症状が異なる。
脳出血の痕跡
過去に起こった小さな出血の跡が見つかることがある。将来的な脳出血のリスク評価につながる。
脳の萎縮
加齢や疾患によって脳の体積が減少した状態。認知機能低下との関連が指摘される。
白質病変(慢性虚血性変化)
脳の血流低下による変化で、動脈硬化や加齢と関連する。将来的な脳梗塞や認知機能低下のリスク因子となる。
頸動脈の動脈硬化※オプション検査
首の血管の狭窄やプラークを確認。脳梗塞の原因となる可能性がある。

脳ドックの最大のメリットは、これらの異常を無症状のうちに可視化できることです。特に、生活習慣病がある方や将来の脳卒中リスクが気になる方にとっては、早期発見・予防につながる重要な検査といえるでしょう。

脳ドックを受けた方がいい人の特徴

デジタル自動血圧計で血圧を測定している様子

脳ドックは、脳卒中のリスクが高い方や将来の健康が気になる方にとって有用な選択肢となります。以下に該当するものがある場合、検査を前向きに検討してみてください。

  • 高血圧の人
  • 糖尿病・脂質異常症の人
  • 喫煙習慣がある人
  • 家族に脳卒中の人がいる人
  • 40歳以上の人
  • 気になる症状がある人

ここからはそれぞれの特徴を詳しく解説します。

高血圧の人

高血圧は、脳出血や脳梗塞の最も重要な危険因子の一つです。血圧が高い状態が続くと血管の壁に持続的な負担がかかり、血管がもろくなったり狭くなったりするリスクが高くなるためです。

特に、長期間コントロールされていない高血圧は、無症候性の脳梗塞や微小出血を引き起こしている可能性があります。自覚症状がないまま病気が進行しているケースもあるため、現状を把握する手段として脳ドックは有用な選択肢といえるでしょう。

糖尿病・脂質異常症の人

糖尿病や脂質異常症は、動脈硬化を進行させる代表的な生活習慣病です。血管の内側にダメージが蓄積されることで、血流が悪化し、脳の血管にも影響を及ぼします。

動脈硬化が進むと血管が詰まりやすくなり、結果として脳梗塞のリスクが高まると考えられています。これらの疾患を指摘されている方は、脳血管の状態を一度画像で確認しておくことをおすすめします。

喫煙習慣がある人

喫煙は血管に強いダメージを与え、動脈硬化を加速させる要因の一つです。血管の内皮機能が低下し、血栓ができやすい状態になることで脳卒中の発症リスクが高まるとされています。

長年にわたって喫煙している方は、無症状のうちに血管の変化が進んでいる可能性を否定できません。健康状態に不安がなくても、一度検査を受けて現状を確認しておくと安心です。

家族に脳卒中の人がいる人

家族に脳梗塞や脳出血、くも膜下出血の既往がある方は、遺伝的要因や共通する生活習慣の影響により、リスクが高い可能性があります。

特に、脳動脈瘤は家族歴との関連が指摘されており、発症率は3.4倍に上がるという研究データが報告されています。

参考:日本の未破裂脳動脈瘤と破裂脳動脈瘤の関連性

40歳以上の人

脳血管疾患のリスクは年齢とともに上昇します。特に、40代以降は高血圧や脂質異常症などの生活習慣病が顕在化しやすくなる年代です。

実際に、脳ドックを受けるきっかけとして「節目の年齢だから」という理由をあげる方は少なくありません。健康診断の延長として脳ドックを受ける方は増えています。

気になる症状がある人

慢性的な頭痛やめまい、物忘れなどの症状があると、検査を受けるきっかけになります。

ただし、こうした症状がすでに出ている場合は、脳ドックを受ける前に医療機関で診察を受けることを優先してください。症状の原因によっては、緊急性のある疾患が隠れている可能性もあるためです。

明らかな異常が見つからなかったとしても、年齢や既往歴、生活習慣などでリスクが高いと判断される場合は、定期的な検査が推奨されます。

脳ドックで異常が見つかる確率

両手のひらで包まれた人間の頭部シルエットの脳部分に黒い混線と中央に赤い丸が描かれている

健康な成人を対象に行われた脳MRI検診の研究では、以下の結果が報告されています。

  • 何らかの異常が発見された:15.6%
  • 精密検査が必要な異常が発見された:1.3%
  • 手術が必要な異常が発見された:0.27%

上記のデータから、約6人に1人の割合で何らかの所見が見つかっていることがわかります。一方で、実際に治療や手術が必要となるケースはごく一部に限られます。

重要なのは、異常所見があるからといって、必ずしも危険な病気があるわけではないという点です。上記の数字には、無症候性の脳梗塞や軽度の血管変化など、経過観察で問題ないケースも含まれます。

参考:Prevalence of abnormal findings on brain magnetic resonance (MR) examinations in adult participants of brain docking

脳ドックの費用

白い服を着た人物がもう一方の人物へ黒いカードを手渡している手元のクローズアップ

脳ドックは自費診療として扱われるため、費用は医療機関や検査内容によって異なります。一般的な相場は2万〜5万円程度が目安です。

検査項目が増えるほど費用は高くなる傾向があり、PET検査を含むコースでは10万円以上になることもあります。

なお、当院では、MRI・MRAをセットにしたコースをご用意しています。

コース 料金(税別) 検査内容
通常コース 22,000円
  • MRI(脳)
  • MRA(脳血管)
  • MRA(頸動脈)
ペアコース 18,000円/人
  • MRI(脳)
  • MRA(脳血管)
  • MRA(頸動脈)

※ペアコースは2名以上でのご予約が対象です。ご家族やパートナーと一緒に受診されたい方におすすめです。

当院の脳ドック検査について>

脳ドック・脳の病気にまつわる質問

黄色い人間の頭部シルエットの脳部分に複雑な線が描かれ、頭上へ向けて放射状に無数の線が広がっている、ストレスや混乱を表現したイラスト

脳ドックを受けられない人はいる?

脳ドックの中心となるMRI検査は強い磁気を使用するため、体内に金属機器がある方は注意が必要です。例えば、ペースメーカーや一部の医療用インプラントを装着している場合、検査が受けられないことがあります。

また、妊娠中の方についても安全性を考慮し、検査の可否は医師の判断となります。閉所恐怖症の方や長時間じっとしていることが難しい方も、事前に相談しておくと安心です。

脳ドックは意味がない?

脳ドックは、高血圧や糖尿病などのリスク因子がある方にとって無症状の段階で異常を発見できるメリットがあります。

全ての人に必要な検査ではないため、受ける人によって評価が分かれるところではあります。健康状態や検査でわかることを理解したうえで、自分に必要かどうか判断することをおすすめします。

脳が萎縮しているサインは?

記憶力の低下や判断力の低下、物忘れが増えるなどの症状は、認知機能の変化と関連している可能性があります。

脳の萎縮とは、加齢や疾患などによって脳の体積が徐々に減少していく状態のことです。加齢に伴うある程度の萎縮は自然な変化とされており、必ずしも異常とは限りません。

若い方や、急な認知機能の低下がみられる場合は医療機関で相談することをおすすめします。

脳梗塞になりやすい血液型は?

海外の研究では、A型の人で発症リスクがやや高く、O型では低い傾向があると報告されています。

ただし、血液型だけで脳梗塞のリスクが決まるわけではありません。実際には、高血圧や糖尿病、喫煙習慣などの生活習慣や基礎疾患の影響が大きいと考えられています。

参考:Contribution of Common Genetic Variants to Risk of Early-Onset Ischemic Stroke

まとめ

白を基調とした清潔な部屋に設置された医療用MRI装置

脳ドックは、症状が出る前の段階で脳や血管の状態を確認できる検査です。特に、高血圧や糖尿病などのリスク因子がある方や家族歴がある方にとっては、将来のリスクを把握する有用な手段といえます。

将来の安心のための一つの選択肢として、脳ドックを上手に活用していきましょう。

平尾病院では、高性能MRIを用いた脳ドックを実施しています。ご家族やパートナーと一緒に受けていただけるペアコースもご用意しており、大切な人の健康を一緒に確認する機会としてもご活用いただけます。閉所が不安な方にも個別に対応しておりますので、はじめての方もどうぞお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

平尾病院 医師 三木 浩一

大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。

専門資格

  • 医学博士
  • 日本頭痛学会 専門医
  • 日本脳神経外科学会 専門医
  • 日本脳卒中学会 専門医
  • 日本認知症学会 専門医

略歴

  • 帝京大学医学部 卒業
  • 福岡赤十字病院 勤務
  • 福岡大学病院 勤務
  • 福岡大学救命救急センター 勤務
  • 釧路労災病院 勤務
  • 福岡東医療センター 勤務
  • 白十字病院 勤務
  • 平尾病院 勤務

所属学会

  • 日本頭痛学会
  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本認知症学会

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