脳の病気・症状
Brain disease
群発頭痛の入院治療について。入院期間(日数)と費用の目安

群発頭痛は「目をえぐられるような」と表現されるほど非常に強い痛みを伴う頭痛です。日常生活に大きな支障をきたすケースでは、入院治療が検討されることもあります。
本記事では、群発頭痛で入院する場合の治療内容を詳しく解説します。入院期間や費用の目安もまとめているので、つらい頭痛でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
群発頭痛とは

群発頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛と並ぶ「三大慢性頭痛」の一つです。「えぐられるような痛み」「じっとしていられないほどの痛み」と表現されることがあるほど、痛みの強さが突出しているのが特徴です。
働き盛りの年代に多くみられ、生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。女性より男性に多くみられる頭痛タイプです。
群発頭痛の原因
群発頭痛の原因は完全には解明されていませんが、いくつかのメカニズムが関与していると考えられています。有力視されているのが、体内時計を司る「視床下部」の異常です。
毎日同じ時間帯に起こりやすいことから、体内時計の乱れが関係している可能性が指摘されています。群発頭痛で涙や鼻水などの症状が伴うのは、顔の感覚を司る三叉神経が刺激されるためとも考えられています。
もう一つ、群発頭痛の発作に関連するのがアルコールです。群発期に飲酒すると高確率で発作が誘発されることから、アルコールが発作の引き金になるといわれています。
アルコール以外にも、強い光や気圧の変化、血管拡張作用のある薬剤(ニトログリセリンなど)が誘因となることがあるとされています。
群発頭痛の特徴
群発頭痛は、他の頭痛と比べて特徴がはっきりしている疾患です。
まず、痛みは片側の目の奥やこめかみを中心に生じ、非常に強烈で鋭い痛みが出現します。発作は15分〜3時間程度続き、1日に数回繰り返すことも珍しくありません。
痛みのあまり落ち着いて横になることができず、じっとしていられなくなる方もいます。発作が一定期間に集中して起こる「群発期」と、症状が出ない「寛解期」を繰り返す周期性も、群発頭痛ならではの特徴です。
加えて、目の充血や涙、鼻水、鼻づまり、まぶたの腫れ、発汗などの自律神経症状を伴うことも少なくありません。これらの症状は、痛みがある側と同じ側に現れるのが特徴です。
群発頭痛は入院が必要になることがある?

群発頭痛の治療は外来で行われることが多く、必ずしも入院が必要になるわけではありません。酸素療法や自己注射製剤などを用いることで、外来でも症状をコントロールできるケースが多いためです。
しかし、症状が非常に強く、発作のコントロールが難しい場合には、入院治療を検討することがあります。入院の主な目的は、痛みのコントロールと治療方針の最適化です。
医療機関で経過を観察しながら薬剤の種類や用量を調整し、酸素療法や点滴治療を集中的に行うことで、症状の早期安定化が期待されます。
また、脳の病気との鑑別が必要になるケースでは、検査目的で入院することもあります。
群発頭痛の入院治療

群発頭痛の治療は、発作時の対処をする急性期治療と、発作を起こしにくくする予防治療に分けられます。外来でも対応可能なケースは多いものの、症状が強い場合や治療の調整が必要な場合には入院下で集中的に治療が行われます。
ここからは、具体的な治療方法を詳しく解説します。
酸素療法
酸素療法は、群発頭痛の急性期治療として広く用いられている代表的な方法です。純酸素(濃度100%)を15分前後吸入することで、発作の痛みを軽減する効果が期待されます。日本頭痛学会のガイドラインでも、推奨治療として位置づけられています。
特に、発作が始まって早い段階で実施することで高い効果が得られるとされており、副作用が少ない点も大きなメリットです。入院中は医療スタッフの管理下で、適切な流量・時間で酸素投与が行われます。
また、発作が頻回に起こる患者さんでは、在宅酸素療法が検討されることもあります。自宅で酸素吸入ができる環境を整えることで、発作時の迅速な対応が可能です。
薬物療法
群発頭痛の治療の中心となるのが薬物療法です。入院中は症状の強さや発作頻度に応じて、複数の薬剤を組み合わせながら最適な治療が検討されます。
発作時の急性期治療では、トリプタン製剤(皮下注射や点鼻薬など)が使用されることが多く、速やかに痛みを抑える効果が期待されます。特にスマトリプタンの自己注射製剤は投与後10分前後で効果が現れるなど即効性が高く、重症例では重要な選択肢です。
予防治療では、群発期の発作頻度を減らす目的でカルシウム拮抗薬を使用することがあります。群発期を早期に抑えるには、ステロイド薬を短期間使用するブリッジ療法も有効です。
また、難治例では抗てんかん薬やリチウムなどが検討されるケースもあり、入院中に副作用や効果を確認しながら調整できる点がメリットです。
点滴治療
症状が強く内服薬や自己注射だけではコントロールが難しい場合には、点滴治療が行われることがあります。薬剤を直接血中に投与することで、より迅速かつ安定した効果が期待されます。
点滴治療で用いられる代表的な薬剤は、鎮痛薬やステロイドなどです。群発期の初期や重症例では、短期間集中的に治療を行うことで症状の改善を図るケースもあります。
入院中は発作の出現時間や頻度、治療への反応を詳細に観察できるため、そのデータをもとに薬剤の種類や用量を細かく調整することが可能です。入院中のデータは、退院後の外来治療をよりスムーズに進めるための基盤を整える役割も担っています。
群発頭痛の入院期間

群発頭痛の入院期間は一律ではなく、症状の強さや発作の頻度、治療内容によって大きく異なります。軽症例では、数日程度の短期入院で退院できるケースもあります。
強い痛みが続く場合は、1〜2週間ほど入院することがあります。また、予防薬の効果を見ながら用量調整を行う場合は、一定期間の経過観察が必要です。
慢性群発頭痛や難治例では、さらに長期の管理が必要になるケースもありますが、近年は在宅酸素療法や自己注射製剤の普及により、できるだけ入院期間を短縮し外来管理へ移行することが多い傾向です。
群発頭痛の在宅酸素療法について

群発頭痛の急性期治療として有効性が高い方法の一つが、在宅酸素療法です。2018年の診療報酬改定で群発頭痛に対する在宅酸素療法が保険適用となり、自宅でも発作時の治療が行えるようになりました。
在宅酸素療法は、発作が起きた際に高濃度の酸素を吸入することで痛みを軽減する治療です。日本頭痛学会のガイドラインでも酸素吸入は急性期治療として強く推奨されており、トリプタン製剤と並ぶ第一選択として位置づけられています。
具体的な方法は、90%以上の高濃度酸素をフェイスマスクで約15分間吸入する方法です。発作の早い段階で使用することで高い効果が期待されます。
在宅酸素療法の大きなメリットは、発作が起きたその場で対応できることです。群発頭痛は1日に複数回発作が起こることもあるため、医療機関を受診せず迅速に対処できることが生活の質の向上につながります。
また、トリプタン製剤には使用回数の制限がありますが、酸素療法は必要に応じて繰り返し使用できる点も特徴です。
なお、在宅酸素療法はあくまで「発作時の対症療法」であり、群発期全体を抑えるためには予防薬の併用が基本となります。酸素療法だけで完全にコントロールできるわけではないため、医師と相談しながら治療を組み合わせていくことが重要です。
群発頭痛の入院費用

群発頭痛で入院した場合の費用は、入院日数や治療内容、病院の設備(個室かどうかなど)によって変動します。
一般的な目安としては、数日〜1週間程度の入院で数万円〜10万円前後(3割負担の場合)になるケースが多く、点滴治療や薬剤の種類、検査の有無によってさらに増減します。
医療費が高額になった場合には「高額療養費制度」を利用することで、年齢や所得に応じて自己負担限度額を超えた分が払い戻される仕組みになっています。
群発頭痛でお金がもらえる?

群発頭痛で入院するケースはそれほど多くなく、公的な給付金や補助制度が用意されていることもほとんどありません。また、群発頭痛は難病指定の対象ではないため、医療費助成などの公的支援を直接受けられるケースは限られます。
一方、民間の医療保険に加入している場合は、入院給付金などを受け取れる可能性があります。給付の対象となる条件や金額は保険商品ごとに異なり、日帰り入院が対象かどうか、通院治療が含まれるかなども契約内容によって変わります。事前に保険証券や約款を確認するか、保険会社に問い合わせると安心です。
まとめ

群発頭痛は基本的には外来で治療されますが、症状が重い場合には入院治療が必要になることがあります。入院では酸素療法・薬物療法・点滴治療などを組み合わせ、発作のコントロールと予防治療の調整が集中的に行われます。
群発頭痛は適切な治療を続けることでコントロールが期待できる疾患です。症状がつらい場合は我慢せず、早めに医療機関へ相談しましょう。
「入院せずに治療できるのか」を判断するためには、まずは専門の医療機関で自分の発作パターンに合った治療法を相談することをおすすめします。平尾病院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、外来でできる予防薬や酸素療法まで対応しています。「頭痛で日常生活に支障が出る」「適切な治療を受けたい」という方は、当院までお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
平尾病院 医師 三木 浩一
大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。
専門資格
- 医学博士
- 日本頭痛学会 専門医
- 日本脳神経外科学会 専門医
- 日本脳卒中学会 専門医
- 日本認知症学会 専門医
略歴
- 帝京大学医学部 卒業
- 福岡赤十字病院 勤務
- 福岡大学病院 勤務
- 福岡大学救命救急センター 勤務
- 釧路労災病院 勤務
- 福岡東医療センター 勤務
- 白十字病院 勤務
- 平尾病院 勤務
所属学会
- 日本頭痛学会
- 日本脳神経外科学会
- 日本脳卒中学会
- 日本リハビリテーション医学会
- 日本認知症学会