脳の病気・症状
Brain disease
群発頭痛になりやすい人の特徴。完治する?痛みを和らげるには?

「片側の目の奥をえぐられるような激しい痛みに襲われる」「毎日同じ時間帯に頭痛が起こる」これらは、群発頭痛の特徴的な症状です。
群発頭痛のはっきりとした原因は解明されていません。しかし、これまでの研究や臨床データから、発症しやすい人には共通する傾向があるという報告があります。
本記事では、群発頭痛になりやすい人の特徴をわかりやすく解説します。発作を和らげる方法や完治の可能性についてもまとめているので、つらい頭痛でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
群発頭痛とは

群発頭痛は非常に強い痛みを伴う頭痛で、片頭痛・緊張型頭痛と並ぶ三大慢性頭痛の一つです。特徴的な症状は、片側の目の奥やこめかみに集中する激しい痛みです。
頭痛にはいくつか種類がありますが、群発頭痛は最も痛みが強いといわれています。その強烈な痛みゆえにじっとしていられず、日常生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。
発作は15分〜3時間ほど持続し、1日に1回だけでなく、数回繰り返されることもあります。多くの場合、数週間〜数ヶ月にわたって毎日のように発作が続く「群発期」と、症状が落ち着く「寛解期」を繰り返します。
群発頭痛とその他の頭痛の違いは、涙や鼻水、目の充血、まぶたの腫れといった自律神経症状を伴うことです。片頭痛や緊張型頭痛では、これらの症状はあまりみられません。
群発頭痛の原因は完全には解明されていませんが、これまでの研究では脳の体内時計を司る視床下部の異常や三叉神経の刺激が関与していると考えられています。
参考:群発頭痛│日本頭痛学会
群発頭痛になりやすい人の特徴

群発頭痛は原因が完全に解明されているわけではなく、誰にでも起こる可能性があります。これまでの疫学研究や臨床報告から、発症しやすい人には以下の傾向が示されています。
- 20〜40代男性
- 喫煙習慣がある
- 飲酒習慣がある
- 家族に群発頭痛の人がいる
ここからはそれぞれの特徴を詳しく解説します。
20〜40代男性
群発頭痛は男性に多い頭痛とされており、男女比はおよそ3〜4:1という報告があります。特に20〜40代の働き盛りの年代で発症するケースが多く、初発もこの時期にみられることが少なくありません。
男性に多い理由については明確には解明されていませんが、喫煙率や飲酒習慣の違い、ホルモンの影響などが指摘されています。ただし、女性でも発症することはあるため、性別にかかわらず強い頭痛がみられる場合は注意が必要です。
喫煙習慣がある
群発頭痛の患者さんには喫煙者が多い傾向があるとされています。喫煙が直接の原因と断定されているわけではありませんが、ニコチンによる血管や神経への影響が関与している可能性が指摘されています。
また、喫煙は自律神経のバランスにも影響を与えるため、群発頭痛の背景にあるとされる視床下部や神経系の働きに間接的に影響する可能性も否定できません。
喫煙は発作の頻度や重症度との関連も示唆されていることから、症状のコントロールには禁煙が勧められることがあります。
飲酒習慣がある
アルコールは群発頭痛の発作を誘発する代表的な因子の一つです。特に群発期に飲酒すると、ほぼ確実に発作が誘発されると報告されています。
寛解期には影響が出ないこともありますが、症状の出方には個人差があるため、群発頭痛の患者さんは原則として禁酒または飲酒量の調整が推奨されます。
なお、群発頭痛はアルコールの種類に関係なく発作が誘発されます。ビールだから大丈夫・ワインや日本酒は頭痛になりやすいといった区別はありません。
したがって、発作が続いている期間はアルコールの種類を問わず飲酒を避けることが基本とされています。
家族に群発頭痛の人がいる
群発頭痛には家族内発症の報告があり、遺伝的な関与が示唆されています。診療ガイドラインでは、家族内発症の頻度は約6.27%とされています。
ただし、明確な遺伝形式や原因遺伝子は特定されておらず、環境要因との関係も含めて今後の研究が待たれる分野です。
群発頭痛に前兆はある?

群発頭痛は発作の前に何らかの前兆が現れることがあります。ただし、片頭痛のように典型的な前兆(閃輝暗点など)が明確に現れるわけではなく、個人差が大きい点が特徴です。
▼群発頭痛の前兆
- 目の奥やこめかみに違和感がある
- 軽い痛みや圧迫感が続く
- まぶたが重く感じる
- 鼻づまりや目の充血が先に現れる
- 落ち着かない、そわそわするといった感覚
群発期に入ると毎日同じような流れで発作が起こることがあり、頭痛の前触れを感じる患者さんもいます。ただし、前兆がまったくないまま突然発作が起こることは珍しくなく、前兆の有無だけで群発頭痛かどうかを判断することは困難です。
前兆の有無は診察時の重要な情報となるため、発作のパターンや特徴があれば記録しておくことをおすすめします。
群発頭痛を和らげる方法

群発頭痛は強い痛みを伴うため、発作時の対処だけでなく、発作を誘発しにくい生活を意識することも重要です。ここからは、群発頭痛を和らげる方法を解説します。
神経に刺激を与える行動を控える
群発頭痛の発作期は神経が過敏な状態になっていると考えられており、外部からの刺激が症状を悪化させることがあります。
強い光や大きな音、強い香りなどは誘因となる可能性があるため、できるだけ避けた方がよいでしょう。
また、睡眠不足や過度な疲労も発作を誘発しやすいため、無理をせず安静に過ごすことが大切です。痛みがつらい時は、落ち着いた環境で神経への刺激を減らす工夫を心がけましょう。
禁煙・禁酒する
飲酒は群発頭痛と関連があるとされており、症状の悪化要因となる可能性があります。アルコールは血管拡張作用をもつことに加え、自律神経にも影響を与えるため、群発期にはごく少量でも発作の引き金になることがあります。
群発期の飲酒は高い確率で頭痛を引き起こすため、発作が続いている期間は禁酒を徹底することが基本です。
また、タバコに含まれるニコチンは血管や神経に作用し、血流の変動や神経の過敏性を高める可能性が指摘されています。喫煙をやめた直後に症状が大きく改善するとは限りませんが、長期的には発作頻度や重症度の軽減につながる可能性があります。
禁煙や禁酒が難しい場合は、群発期だけでも控える・量や頻度を減らすといった段階的な対応から始めることも現実的な選択肢です。医療機関で禁煙外来などのサポートを受けることも検討するとよいでしょう。
規則正しい生活を心がける
群発頭痛は体内時計を司る視床下部との関連が指摘されており、生活リズムの乱れが発作に影響する可能性があります。
毎日同じ時間に寝起きする・十分な睡眠を確保する・食事の時間を整えるといった基本的な生活習慣を見直すことが重要です。夜更かしは発作の誘因となることがあるため、生活が不規則にならないよう注意が必要です。
薬を飲む
群発頭痛の基本的な治療は薬物療法と酸素療法で、「発作時の対処」と「発作を予防する治療」の2つに分けて考えます。発作時にはトリプタン製剤や純酸素吸入療法が有効とされており、速やかな症状緩和が期待されます。
予防治療では、群発期の発作回数を減らすことを目的としてカルシウム拮抗薬などの薬剤が継続的に使用されます。これらの治療は患者さんの症状や体調によって適応が異なります。
市販の鎮痛薬では十分な効果が得られないケースが多く、自己判断での対応には限界があります。群発頭痛が疑われる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
群発頭痛で受診する目安

群発頭痛で以下の症状がみられる場合は受診を検討する段階にあります。
- 片側の目の奥に激しい痛みが繰り返し起こる
- 毎日同じ時間帯に頭痛が出る
- 涙や鼻水、目の充血などの症状を伴う
- 市販の鎮痛薬が効かない
- 痛みが強く、じっとしていられない
群発頭痛は適切な治療によって発作をコントロールできる可能性があります。
また、これまでにない強い頭痛や、手足のしびれや麻痺などの症状を伴う場合は重篤な疾患が隠れているサインでもあります。緊急性が高いと判断される場合は、迷わず救急受診を検討してください。
群発頭痛は完治する?

群発頭痛を完全に治す治療法は確立されていません。現状は、薬物療法や生活管理によって発作の頻度や強さをコントロールする方法がとられるのが一般的です。
寛解期が1年未満しかない、または寛解期がない「慢性群発頭痛」に移行した場合は、医療機関での継続的な管理が必要です。
群発頭痛は「一度発症すると一生続くのでは」と不安に感じる方も多いですが、実際には発作が出ない期間が長く続くケースもあります。また、適切な治療とセルフケアを継続することで発作の影響を最小限に抑えることが期待できます。
患者さんの中には年齢と共に発作が軽減したり、寛解期間が長くなったりするケースも報告されています。早期に適切な治療を開始することで、生活の質(QOL)の維持につながります。
まとめ

群発頭痛の原因は完全には解明されていませんが、20〜40代男性や喫煙・飲酒習慣のある人などに多くみられる傾向があります。
発作期には生活リズムを整え、禁煙・禁酒を心がけることが大切です。必要に応じて医療機関での治療も検討した方がよいでしょう。
「自分の頭痛は群発頭痛なのか」を確かめるためには、専門の医療機関による診断を受けることをおすすめします。平尾病院では、患者さんの状態や生活状況を把握したうえで、一人ひとりに合った治療を行っています。「お酒を飲むと強い頭痛に襲われる」「市販の頭痛薬が効かない」といったお悩みは、当院までお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
平尾病院 医師 三木 浩一
大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。
専門資格
- 医学博士
- 日本頭痛学会 専門医
- 日本脳神経外科学会 専門医
- 日本脳卒中学会 専門医
- 日本認知症学会 専門医
略歴
- 帝京大学医学部 卒業
- 福岡赤十字病院 勤務
- 福岡大学病院 勤務
- 福岡大学救命救急センター 勤務
- 釧路労災病院 勤務
- 福岡東医療センター 勤務
- 白十字病院 勤務
- 平尾病院 勤務
所属学会
- 日本頭痛学会
- 日本脳神経外科学会
- 日本脳卒中学会
- 日本リハビリテーション医学会
- 日本認知症学会