脳の病気・症状
Brain disease
【群発頭痛】嘔吐がつらい…原因と対処法を解説

群発頭痛は、片側の目の奥をえぐられるような激しい痛みが特徴の頭痛です。あまりの痛みで吐き気を伴い、まれに嘔吐することもあります。
本記事では、群発頭痛と嘔吐の関係をわかりやすく解説します。群発頭痛になりやすい人や症状を和らげる方法をまとめているので、つらい症状でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
群発頭痛とは

群発頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛と並ぶ「三大慢性頭痛」の一つです。非常に強い痛みが一定期間に集中して起こる点が大きな特徴です。
発症頻度は高くないものの、痛みの強さは頭痛の中でも特に強いレベルとされています。その強さゆえ、日常生活に影響を与えることもありますが、適切な診断と治療によって症状のコントロールが可能です。
参考:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
群発頭痛の原因
群発頭痛は脳の深部にある視床下部の異常が関与していると考えられていますが、はっきりとした原因は完全には解明されていません。
視床下部は体内時計を司る部位であり、発作が毎日ほぼ同じ時間帯に起こることと関連している可能性があります。
また、顔面の感覚を司る三叉神経の刺激や、自律神経のバランスの乱れ、血管の拡張も発症に関わるとされています。何らかの理由で視床下部が刺激され、三叉神経(さんさしんけい)血管系(顔の感覚を司る神経と血管のネットワーク)が過度に活性化すると、頭蓋内外の血管が拡張して周囲に炎症が生じ、目の奥に激痛が起こると考えられています。
さらに、発作の誘因として知られているのがアルコールとタバコです。頭痛が続く時期の飲酒と喫煙は、高い確率で発作を悪化させることが知られています。
群発頭痛の特徴
群発頭痛の最大の特徴は、片側の目の奥やこめかみに起こる非常に強い痛みです。「えぐられるような痛み」と表現されるような、落ち着いていられないほどの痛みを感じることがあります。
発作は15分〜3時間程度続き、1日に数回繰り返されることがあります。夜間や明け方など、決まった時間帯に起こりやすいことも群発頭痛の典型的なパターンです。
また、数週間から数ヶ月にわたって発作が集中する「群発期」と、症状が出ない「寛解期」を繰り返す経過をとります。この周期性は群発頭痛を特徴づける重要なポイントです。
さらに、群発頭痛には以下の自律神経症状を伴うことが多いとされています。
- 目の充血
- 涙が出る
- 鼻水や鼻づまり
- まぶたの腫れや下垂など
これらの症状は痛みと同じ側に現れることが多く、診断の手がかりになります。
群発頭痛の患者さんは、痛みのあまりじっとしていられず、頭を抱えて動き回ってしまうほど落ち着きをなくすことが多いのも特徴です。発作が終わると何事もなかったかのように痛みが消えるキレの良さも群発頭痛ならではの現象です。
この落差が激しいため、周囲からは大げさに痛がっているように誤解されてしまうケースもあり、患者さんの精神的な孤独感につながることもあります。
参考:日本頭痛学会「群発頭痛」
群発頭痛の初期症状
群発頭痛では、発作が起こる前に目の奥の違和感や軽い痛みを感じることがあります。患者さんによっては、片目の充血・涙・鼻づまり・鼻水といった症状が先行することがあり、頭痛の前兆として自覚している方もいます。
ただし、これらの初期症状はすべての患者さんに現れるわけではありません。症状の出方には個人差があり、前兆がほとんどないまま突然強い痛みが出現するケースもあります。
患者さんの中には、本格的な痛みが来る数分前に目の周辺がムズムズしたり熱を帯びるような感覚異常が生じる方もいるようです。自分なりの初期症状のパターンを把握しておくことは、群発期を乗り切るための非常に重要な防衛策となります。
群発頭痛と嘔吐の関係

群発頭痛では、強い痛みによって吐き気や嘔吐を伴うことがあります。耐えがたい痛みによるストレス反応や過呼吸などが、吐き気や嘔吐を引き起こす主な原因です。
もっとも、群発頭痛では片頭痛のように吐き気や嘔吐が高頻度でみられるわけではありません。嘔吐が主症状として強く現れたり、頭痛の性質が典型的な群発頭痛と異なる場合には別の病気が関与している可能性を考えます。
強い頭痛を伴う病気には、くも膜下出血や脳腫瘍、脳出血などがあります。これらは命に関わる病気であるため、早期受診で適切に対処することが重要です。
群発頭痛になりやすい人

群発頭痛は誰にでも起こりうるものですが、特に20〜40代の男性に多く、有病率は男性の方が高い傾向です。
また、喫煙者や飲酒習慣がある方に多くみられることも複数の研究で指摘されています。これは、タバコに含まれるニコチンや、アルコールが血管や神経へ作用するためだと考えられています。
群発頭痛の有病率は全人口の約0.1%程度(1,000人に1人の割合)で、片頭痛や緊張型頭痛ほど多くはありません。
群発頭痛を和らげる方法

群発頭痛は、生活習慣の見直しと神経への刺激を軽減することで改善する可能性があります。ここからは群発頭痛を和らげる方法を見ていきましょう。
神経に刺激を与える行動を控える
群発頭痛の発作期は神経が過敏な状態にあるため、症状を悪化させる可能性のある刺激はできるだけ避けることが重要です。
例えば、強い光や大きな音、刺激の強いにおいなどは発作を誘発・悪化させることがあります。また、睡眠不足や過度な疲労も発作の引き金となるため、無理をせず安静に過ごすことが大切です。
発作が起きている間は、血管を拡張させる熱刺激にも注意しましょう。入浴やサウナで体を温めることは血管を広げ、発作を誘発する恐れがあります。痛みが集中する時期はシャワーのみで済ませるなど、体温を急激に上げない工夫が必要です。
禁煙・禁酒する
喫煙や飲酒は群発頭痛と関連があるとされています。特に、群発期の喫煙と飲酒は高い確率で発作を誘発することが明らかにされています。
群発期はお酒の種類に関わらず、微量のアルコールでも血管を拡張させ、三叉神経を刺激してしまいます。タバコに含まれるニコチンも血管を収縮させた後に急激に拡張させる作用があり、これも発作の大きな引き金となります。
発作が続く時期は、禁煙と禁酒を心がけることが大切です。寛解期には問題がない場合もありますが、これまでに発作を経験した方は慎重な判断が必要です。
規則正しい生活を心がける
群発頭痛は体内時計との関係が指摘されているため、生活リズムを整えることが予防につながる可能性があります。
毎日同じ時間に就寝・起床する、食事の時間を一定にするなど、規則正しい生活を意識することが重要です。睡眠リズムの乱れは発作に影響することがあるため、夜更かしや不規則な生活は避けるようにしましょう。
薬を飲む
群発頭痛の治療は薬物療法が中心となります。発作時には、トリプタン製剤(皮下注射や点鼻など)や高濃度酸素吸入療法などが有効です。
医療機関では、発作を予防するための予防薬が処方されることもあります。群発期の管理には専門的な治療が欠かせないため、症状が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
なお、群発頭痛は市販の鎮痛薬では十分な効果が得られないケースが多いとされています。自己判断で鎮痛剤を飲み続けるのは避け、医療機関で適切な治療を受けることが重要です。
群発頭痛にまつわる質問

群発頭痛は難病指定されている?
指定難病には含まれていません。
ただし、群発頭痛はその痛みの強さから日常生活や就労に大きな影響を及ぼす疾患です。特に、発作が長期間続く慢性群発頭痛では、寛解期がほとんどない、または非常に短いといった重症例も存在します。痛みが続く場合は一人で抱え込まず、医療機関に相談することが大切です。
群発頭痛で死ぬことはある?
群発頭痛そのものが直接の原因で死亡することはありません。ただし、強い痛みは精神的な負担が大きく、不安や恐怖感が強くなることもあります。
こうした負担を一人で抱え込まないことが大切です。薬物療法で症状が緩和されるケースもあるため、つらい症状が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
群発頭痛でしてはいけないことは?
群発頭痛には明確な行動制限はありませんが、発作を誘発・悪化させる可能性がある喫煙や飲酒、不規則な生活は控えた方がいいでしょう。
群発頭痛は適切な治療によってコントロールが可能な疾患であるため、疑いがある場合は放置をせず、医療機関での診断・治療を受けることが重要です。
まとめ

群発頭痛は、片側の目の奥に起こる激しい痛みが特徴の頭痛で、場合によっては吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
群発頭痛は特定の生活習慣やタイミングと関連して発作が起こることがあり、禁酒や生活リズムの見直しが予防・対策につながる可能性があります。「いつもと違う頭痛」「吐き気や嘔吐を伴う強い痛み」がある場合は、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。
平尾病院では、患者さんの状態や生活状況を把握したうえで、一人ひとりに合った治療を行っています。「群発頭痛がつらい」「頭痛のせいで日常生活に支障が出る」という方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
平尾病院 医師 三木 浩一
大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。
専門資格
- 医学博士
- 日本頭痛学会 専門医
- 日本脳神経外科学会 専門医
- 日本脳卒中学会 専門医
- 日本認知症学会 専門医
略歴
- 帝京大学医学部 卒業
- 福岡赤十字病院 勤務
- 福岡大学病院 勤務
- 福岡大学救命救急センター 勤務
- 釧路労災病院 勤務
- 福岡東医療センター 勤務
- 白十字病院 勤務
- 平尾病院 勤務
所属学会
- 日本頭痛学会
- 日本脳神経外科学会
- 日本脳卒中学会
- 日本リハビリテーション医学会
- 日本認知症学会