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片頭痛とめまいの関係。原因と治し方を解説

女性が階段を上る途中で手すりを掴みながら、もう片方の手で額を抑えて苦しそうに下を向いている様子

片頭痛に関連してめまいが起こることを「前庭性片頭痛(ぜんていせいへんずつう)」といいます。前庭性片頭痛は、頭痛と共にぐるぐる回るようなめまいやふわふわする感覚がある時に診断されます。

めまいは耳の病気に多くみられる症状ですが、片頭痛が関係していることも少なくありません。

本記事では、片頭痛とめまいの関係をわかりやすく解説します。前庭性片頭痛の特徴や原因、治し方もまとめているので、頭痛とめまいでお悩みの方はぜひ参考にしてください。

前庭性片頭痛とは?

ソファーに腰掛けた女性が、両手を額に当てて下を向き、体調不良や痛みに耐えている様子

前庭性片頭痛は、片頭痛に関連してめまいが起こる疾患です。めまいの種類には、ぐるぐる回る感覚やふわふわする感覚などがあり、めまいのみが出現するケースもあります。

片頭痛のように強い頭痛が前面に出るとは限らず、めまいが主な症状として現れることもあるため、見逃されやすい点が特徴です。

原因不明のめまいの背景に、前庭性片頭痛が関与しているケースもあります。診断や治療は耳鼻咽喉科や脳神経内科・脳神経外科で行われるのが一般的です。

前庭性片頭痛の原因

前庭性片頭痛の原因は、現時点では完全には解明されていません。近年の研究では、三叉神経系(さんさしんけいけい)の関与や脳血管の反応、神経伝達物質の変化などが関係しているとの考え方が広がっています。

また、平衡感覚をつかさどる前庭系と、片頭痛に関わる神経メカニズムが相互に影響している可能性も指摘されています。さらに、睡眠不足やストレス、ホルモンバランスの変化、天候の変化などが発作の誘因になることもあります。

ただし、これらの要因が単独で前庭性片頭痛を引き起こすとは限らず、複数の誘因が重なって発作につながることもあります。発作が起きた日の睡眠状況や食事、ストレスの有無、天候の変化などを記録しておくと、再発予防のヒントになります。

参考:一般社団法人 日本頭痛学会「前庭性片頭痛患者に認められる視覚系と前庭系の相互作用の異常」

前庭性片頭痛とめまいの関係

前庭性片頭痛では、めまいが主症状として現れることが多いとされています。めまいの種類は一つではなく、回転しているように感じる場合もあれば、体がふわふわと浮くような感覚として現れることもあります。

頭痛と同時にめまいが起こる場合もあれば、めまいのみが出現するケースもあるため、片頭痛との関連に気づきにくいこともあります。なお、めまいの持続時間や強さには個人差があり、症状の出方は一定ではありません。

前庭性片頭痛の診断基準

前庭性片頭痛は、画像検査などで明確に診断できる疾患ではなく、症状や既往歴をもとに総合的に判断されます。診断の際には、国際頭痛分類(ICHD)などの基準が参考にされることが一般的です。

▼前庭性片頭痛の診断基準

  • 中等度〜重度(生活に支障が出るレベル)の前庭症状(めまいなど)の発作が5回以上ある
  • 現在または過去に「前兆のない片頭痛」または「前兆のある片頭痛」の経験がある
  • 各発作が5分〜72時間持続する
  • めまい発作の50%以上で、以下のいずれかの片頭痛症状をともなう
    • 「頭の片側がズキズキ痛む」「動くと痛みがひどくなる」といった、中〜強度の強い頭痛
    • 光過敏かつ音過敏
    • 視覚性前兆(キラキラした光が見えるなど)
  • 他のめまい疾患や頭痛疾患でうまく説明できない

こうした条件をもとに、他のめまいを引き起こす疾患との鑑別を行いながら診断が進められます。

ただし、これらの項目に当てはまるからといって自己判断で確定できるわけではありません。実際には、メニエール病や脳の病気など他の原因を除外しながら診断が進められます。

参考:国際頭痛分類 第3版(日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会訳)

前庭性片頭痛の特徴

机の前に座る短髪の人物が、後ろ向きの状態で両手で顔を覆い、うつむいて悩んでいる様子

前庭性片頭痛にはいくつかの特徴があります。ここからは前庭性片頭痛に見られる特徴を解説します。

突然起こる

前庭性片頭痛のめまい発作は、前触れなく突然始まるのが特徴です。日常生活の中で急に症状が現れることが多く、歩行中や作業中、安静にしているときにも発症する可能性があります。

症状の強さや感じ方には個人差があり、強いめまいに加えて吐き気やふらつきを伴うこともあります。外出先や仕事中に急に症状が出ると、転倒や移動時の危険につながることもあるため、発作が起きた時は無理をせず、安全な場所で休むことが大切です。

5分〜72時間持続する

前庭性片頭痛の発作は、短時間でおさまる場合もあれば、数時間から数日続くこともあります。持続時間の目安は5分〜72時間と幅広く、同じ患者さんでも発作ごとに変動することがあります。

発作の持続時間には幅があるため、すぐ治まったから大丈夫とは言い切れません。

繰り返し起こる

めまい発作が繰り返し起こることも、前庭性片頭痛の特徴の一つです。一度きりではなく、複数回の発作が確認されることが診断の参考になります。

発作の頻度には幅があり、数ヶ月に一度程度の人もいれば、比較的短い間隔で繰り返すケースもあります。繰り返すことで通勤や家事、外出に不安を感じるようになる方もいます。

頭痛を伴わないことがある

前庭性片頭痛では、一部の発作において頭痛を伴わないことがあります。めまいのみが主症状として出現するケースもあり、片頭痛との関連に気づきにくいことがあります。

「頭痛がないなら片頭痛ではない」と思い込み、受診が遅れるケースもあります。片頭痛の既往や光・音への過敏など、頭痛以外の情報も診断の手がかりになります。

音や光に過敏になる

前庭性片頭痛では、光や音に対して敏感になる症状(光過敏・音過敏)が見られることもあります。

明るい場所や騒がしい環境で症状が悪化し、暗く静かな環境で安静に過ごすと症状が落ち着くことがあります。

前庭性片頭痛になりやすい人

女性が手で目を覆うようにして顔を伏せている様子

前庭性片頭痛は誰にでも起こりうるものの、特定の傾向を持つ人に発症しやすいとされています。特に多いのが、片頭痛の既往がある方です。

性別で分けると女性に多い傾向があります。これは、月経や更年期などに伴うホルモンバランスの変化が発作の引き金になるためだと考えられています。

さらに、睡眠不足やストレス、生活リズムの乱れといった日常的な要因も発作の誘因となることがあり、生活習慣との関わりも無視できません。

前庭性片頭痛の治し方

水が入った透明なグラスと、その手前に並ぶ3粒の小さな錠剤

前庭性片頭痛は安静にしたり薬を飲むことで症状が落ち着くことがあります。日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診することも検討しましょう。

ここでは、前庭性片頭痛の対処法を詳しく解説します。

医療機関を受診する

めまいを伴う疾患にはメニエール病など他の病気も含まれるため、自己判断で前庭性片頭痛と断定することはできません。

特に、繰り返すめまいや強い頭痛がある場合は、耳鼻咽喉科や脳神経外科、脳神経内科を受診し、正確な診断を受けることが重要です。原因を明確にすることで、適切な治療方針が立てられます。

安静にする

前庭性片頭痛の発作が起きた時は、無理に動かず安静にすることが基本的な対処法です。めまいや吐き気が強い場合は、暗く静かな場所で横になって休むことで、症状がやわらぐことがあります。

急な動作を避けることも、症状の悪化を防ぐポイントです。めまいがある状態での移動や入浴は転倒のリスクが高まるため、立ち上がったり急に振り向いたりせず、できるだけゆっくり動くことを意識しましょう。

症状が強い場合は無理に動かず、家族に付き添ってもらうなど安全を確保したうえで行動することが大切です。

薬を飲む

前庭性片頭痛は安静にすることで発作が落ち着くこともありますが、症状が強い場合や繰り返す場合は医療機関での薬物治療が検討されます。片頭痛に対してはトリプタン製剤などが用いられることがあり、めまいや吐き気が強い場合には抗めまい薬や制吐薬が処方されることもあります。

また、発作の頻度が高く、日常生活に支障をきたすようなケースでは予防治療も検討しなければなりません。予防治療ではβ遮断薬やカルシウム拮抗薬、抗てんかん薬などが使用されることがあります。

継続的に内服することで、発作の回数や強さの軽減が期待されます。

前庭性片頭痛とメニエール病の違い

後ろ向きの女性が左手で頭を抱え込んでいる様子

前庭性片頭痛とメニエール病は、いずれもめまいを主症状とする疾患です。めまいだけでは見分けが難しいこともありますが、それぞれの症状にはいくつかの違いがあります。

メニエール病では、めまいに加えて難聴や耳鳴り、耳が詰まったような感覚(耳閉感)を伴うことが多く、耳の症状が目立つ点が特徴です。

一方、前庭性片頭痛では、片頭痛の既往や頭痛、光や音に対する過敏といった片頭痛特有の症状がみられることがあります。

両者は症状が重なる部分もあるため、自己判断で区別するのは困難です。正確な診断のためには、医療機関での問診や検査を受け、他の疾患も含めた総合的な評価が必要です。

まとめ

医師が笑みを浮かべながら、対面に座る患者へ説明している様子

片頭痛とめまいが同時に起こる場合、前庭性片頭痛が関係している可能性があります。前庭性片頭痛は比較的新しい概念の疾患であり、めまいの原因として見逃されているケースも少なくありません。

突然起こるめまいや繰り返す発作、光や音への過敏などの特徴がみられる場合は、単なる体調不良と考えず注意が必要です。特に、めまいが繰り返される場合や日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

平尾病院では、患者さん一人ひとりの症状に合わせて必要な検査と治療を行っています。めまいを伴う頭痛が気になる方は、一度ご相談にお越しください。

この記事の監修者

平尾病院 医師 三木 浩一

大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。

専門資格

  • 医学博士
  • 日本頭痛学会 専門医
  • 日本脳神経外科学会 専門医
  • 日本脳卒中学会 専門医
  • 日本認知症学会 専門医

略歴

  • 帝京大学医学部 卒業
  • 福岡赤十字病院 勤務
  • 福岡大学病院 勤務
  • 福岡大学救命救急センター 勤務
  • 釧路労災病院 勤務
  • 福岡東医療センター 勤務
  • 白十字病院 勤務
  • 平尾病院 勤務

所属学会

  • 日本頭痛学会
  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本認知症学会

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