脳の病気・症状
Brain disease
片頭痛の治し方。原因や対処法、市販薬での対処について

ズキズキとした痛みを伴う片頭痛は、長続きしたり何度も繰り返したりすると日常生活に支障をきたすことがあります。早く治したいと思っても、正しい対処法がわからず悩む方も多いのではないでしょうか。
片頭痛の原因ははっきりと解明されていませんが、生活習慣やストレスなどが関与しているといわれています。ただの頭痛と思って様子を見ているうちに悪化し、仕事や家事に集中できなくなることもあるため、早めの対処が必要です。
本記事では、片頭痛が起こるメカニズムや症状の特徴をわかりやすく解説します。
片頭痛とは

片頭痛は、ズキズキと脈打つような痛みが繰り返し起こるタイプの頭痛です。肩こりや筋緊張に伴う頭痛とは異なり、発作のように強い痛みが出るのが特徴です。
日本では20〜40代の女性に多くみられ、4〜72時間程度続くことがあります。頭痛以外にも、吐き気や光・音への過敏などを伴うことがあり、仕事や家事がつらくなるほど日常生活に影響するケースも少なくありません。
また、片頭痛は月に数回程度の発作として繰り返されることが多いです。発作の前に視界にギザギザした光が現れ、それが広がって見えにくくなる前兆(閃輝暗点)が現れるタイプもあり、症状の出方には個人差があります。
片頭痛の原因
片頭痛の明確な原因は完全には解明されていません。近年の研究では、脳の血管の拡張や神経の炎症反応が関係していると考えられています。
何らかの要因によって三叉神経(脳から出る神経)が刺激されると、神経末端から炎症を引き起こす物質(CGRP)が放出され、血管が拡張するとともに痛みの発生に関与するとされています。
ただし、こうした要因が単独で関与するとは限らず、いくつかの要因が重なった時に発作が起こるケースもあります。
また、睡眠不足やストレス、ホルモンバランスの変化、空腹、天候の変化なども発作の引き金になる要因です。片頭痛の原因や症状には個人差があるため、自分の発作パターンを把握することが予防の第一歩となります。
片頭痛の特徴
片頭痛は、こめかみ付近を中心にズキズキと脈打つような痛みが現れるのが特徴です。痛みは日常生活に支障をきたすほど強くなることもあり、仕事や家事がままならないと訴える患者さんも少なくありません。
頭の片側だけに起こるのが典型例ですが、一部では両側に痛みを感じることもあります。発作は数時間から数日続くことがあり、人によっては吐き気や嘔吐、光や音への過敏といった症状を伴うこともあります。
さらに、発作の前に「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる視覚異常が現れるタイプもあります。視野の中にギザギザした光やチカチカした模様が現れて徐々に広がり、5〜60分ほどで消失したあとに頭痛が始まるのが典型的なパターンです。
片頭痛は体を動かすと痛みが強くなることもあり、階段の上り下りや家事など普段の動作がつらく感じる患者さんが多いです。
他の頭痛との違い
頭痛には、片頭痛のほかにも緊張型頭痛や群発頭痛などの種類があります。緊張型頭痛は頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが現れ、群発頭痛は非常に強い痛みが短時間に集中して起こります。
これに対して、片頭痛は拍動性の痛みが発作的に起こるのが特徴です。人によって吐き気が出たり、光・音への過敏を伴う点が、他の頭痛との大きな違いです。
頭痛の種類は、自分で正確に見分けるのが難しいこともあります。いつもと違う強い痛みや頻度の増加がある場合は、自己判断せず医療機関に相談することが大切です。
片頭痛がつらい…治し方と痛みを和らげる方法

片頭痛の発作が起こった時は、無理に動こうとせず、症状を悪化させないことが大切です。ここからは片頭痛の基本的な対処法を紹介します。
落ち着いた環境で休む
片頭痛は、光や音などの刺激によって痛みが強くなることがあります。そのため、まずは暗く静かな場所で安静にすることが基本的な対処法となります。
可能であれば横になって体を休めましょう。睡眠をとることで症状が軽減するケースもあります。スマートフォンやパソコンの画面も刺激になることがあるため、発作時は使用を控えるのが望ましいとされています。
無理に仕事や家事を続けると症状が長引く可能性があるため、できるだけ早めに休息をとるよう心がけましょう。
冷やす
こめかみや額など、痛みを感じる部分を冷やすことで症状が和らぐ場合があります。保冷剤や冷たいタオルを使って冷やしてみることをおすすめします。
片頭痛は血管の拡張が関与していると考えられており、冷やすことで血管の広がりが抑えられ、痛みの軽減につながる可能性があります。
ただし、頭部を急激に冷やすと不快感につながることもあるため、タオルで包んだ保冷剤を短時間あてるなど、無理のない範囲で行いましょう。
市販薬を飲む
軽度から中等度の片頭痛であれば、市販の鎮痛剤で症状が改善する場合があります。鎮痛剤は、痛みが強くなる前の早い段階で服用するのが効果的です。
市販の鎮痛剤にはアセトアミノフェン・イブプロフェン・ロキソプロフェンなどさまざまな成分があるため、成分や用法・用量を確認して使用することが大切です。空腹時の服用を避けたほうがよい薬もあるため、添付文書をよく確認しましょう。
鎮痛剤の使いすぎは、薬剤の使用過多による頭痛を引き起こすリスクがあります。頻繁に使用している場合や効果が不十分な場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
生活習慣を改善する
片頭痛は、睡眠不足やストレス、空腹、アルコールなどが引き金となることがあります。こうした要因を見直すことで、発作の予防につながる可能性があります。
規則正しい睡眠やバランスのよい食事を心がけることに加え、適度な運動やストレス管理も重要です。片頭痛は生活リズムの乱れとも関係するとされるため、平日と休日で睡眠時間が大きくずれないよう意識することも大切です。
また、空腹が片頭痛の引き金になる方は、食事を抜かずにこまめにエネルギーを補給することも心がけましょう。
ツボを押す
片頭痛のセルフケアとしてツボ押しが紹介されることもあります。頭痛に効くといわれる代表的なツボが、頭頂部の「百会」、眉の内側にある「攅竹」、頬のあたりの「下関」です。
指で軽く刺激すると痛みが和らぐことがあるとされています。
ただし、ツボ押しは医学的に効果が十分に確立された治療法ではありません。効果には個人差があり、医学的根拠は十分とはいえないため、試す場合は補助的なセルフケアとして取り入れるのがよいでしょう。
片頭痛を悪化させるNG行動

片頭痛を悪化させるよくあるNG行動が、体を温めることです。入浴や長時間のシャワー、ホットタオルなどで頭部を温めると血管が拡張し、痛みが強くなることがあります。
片頭痛は脳の血管の拡張が関与すると考えられており、冷やして血管の広がりを抑えるほうが、温めて血流を促すよりも症状緩和に適しているケースが多いとされています。
また、発作時に飲酒をすると血管がさらに拡張し、頭痛が悪化する可能性があります。普段は問題がない方でも、片頭痛のタイミングでは避けたほうがよいでしょう。
片頭痛がある方は、発作時のスマートフォンやパソコンの使用にも注意が必要です。強い光や画面の刺激は症状を悪化させることがあるため、発作時はできるだけ暗く静かな環境で過ごすことが推奨されます。
片頭痛で受診すべきタイミング

片頭痛は市販薬や生活習慣の見直しでコントロールできることもありますが、症状がつらい場合は無理をせず医療機関に相談しましょう。
頭痛が頻繁に起こる・痛みが強くなっている・これまでと同じ対処法で改善しない。こうした状況は受診を検討するタイミングです。
また、市販の鎮痛剤が効きにくくなったり、服用回数が増えている場合も受診の目安です。鎮痛剤の使いすぎは薬物乱用頭痛を引き起こすリスクがあります。
さらに、日常生活に支障が出ている場合も重要なサインです。仕事や家事ができないほどの痛みが繰り返される場合には、医療機関での治療によって症状の軽減が期待できます。
即効性のある治し方はある?

片頭痛をその場で完全に治す方法はありませんが、適切な対処によって症状を早く軽減できる可能性があります。特に重要なのは、発作の初期段階で休息や薬を使用することです。
片頭痛は痛みが強くなってからでは薬が効きにくくなる傾向があるため、違和感やいつもの前兆が出てきたと感じた段階で早めに対処しましょう。
医療機関では、片頭痛発作に対してトリプタン製剤などの専用治療薬が処方されることがあります。市販薬で症状が十分に和らがない場合や、発作の頻度が多い場合には、医師と相談のうえでこうした治療を検討する選択肢があります。
医師の診察を受けて自分に合う薬を処方してもらい、発作時にすぐ服用できるよう準備しておくことも、症状の早期軽減につながります。つらい片頭痛は一人で悩まず、医療機関に相談することも検討してみてください。
まとめ

片頭痛は日常生活に影響を及ぼすことのあるつらい症状ですが、正しい知識と対処によって症状をコントロールしやすくなります。
発作時は暗く静かな場所で休んだり、早めに薬を使用するといった基本的な対応を行うことが重要です。症状が重い場合や市販薬で改善しない場合には、無理をせず医療機関を受診しましょう。
「自分の片頭痛にはどの治療が合っているのか」を知るためには、専門の医療機関のもとで診断を受け、治療方針を相談していくのがおすすめです。平尾病院では、患者さん一人ひとりの頭痛のタイプや頻度に合わせて、トリプタンや予防薬まで含めた治療を行っています。長引く頭痛にお困りなら、一度ご相談にお越しください。
この記事の監修者
平尾病院 医師 三木 浩一
大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。
専門資格
- 医学博士
- 日本頭痛学会 専門医
- 日本脳神経外科学会 専門医
- 日本脳卒中学会 専門医
- 日本認知症学会 専門医
略歴
- 帝京大学医学部 卒業
- 福岡赤十字病院 勤務
- 福岡大学病院 勤務
- 福岡大学救命救急センター 勤務
- 釧路労災病院 勤務
- 福岡東医療センター 勤務
- 白十字病院 勤務
- 平尾病院 勤務
所属学会
- 日本頭痛学会
- 日本脳神経外科学会
- 日本脳卒中学会
- 日本リハビリテーション医学会
- 日本認知症学会