脳の病気・症状

Brain disease

脳梗塞と食事。食べてはいけないものはある?控えた方がいい食べ物一覧

テーブルいっぱいに並べられたテイクアウト容器に入ったパスタやサラダ、スープなどの彩り豊かな数々の惣菜

脳梗塞の予防や再発防止において、日々の食事では減塩と栄養バランスを意識することが大切です。「絶対に避けるべき」「食べると後遺症が治る」といった食品はありません。

本記事では、脳梗塞の予防・再発防止につながる食事管理のポイントをわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、無理なく続けられる食習慣を整えていきましょう。

脳梗塞の予防と再発を防ぐには?

リハビリ室の平行棒を両手で掴んで歩行訓練をする患者と、その横でサポートする医療従事者

脳梗塞は、発症後1年以内の再発リスクが高いことが明らかにされています。日本人を対象にした調査では、1年後の再発率が約10%、5年後は35.3%、10年後は約51.3%と非常に高い割合で再発したとのデータがあります。

脳梗塞を発症した後は日常生活の見直しが必須であり、生活習慣の改善と医療的な管理を組み合わせることで予防および再発防止が期待できます。ここからは具体的な対策を見ていきましょう。

参考:Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study

生活習慣を見直す

脳梗塞のリスクを下げるには、日々の生活習慣の改善が欠かせません。塩分を控えた食事や適度な運動、禁煙、節酒といった基本的な取り組みが、動脈硬化の進行を抑えることにつながります。

特別なことをするのではなく、継続できる範囲で生活全体を整えていく意識が大切です。

持病を管理する

高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、脳梗塞の主要なリスク因子です。これらを適切にコントロールすることが、発症や再発の予防につながります。

定期的な通院を続け、医師の指示に沿って治療を継続することが重要です。

再発予防の薬を継続する

脳梗塞の再発予防として、抗血小板薬や抗凝固薬などが処方されることがあります。これらの薬は血栓(血の塊)の形成を抑える「血液をサラサラにする薬」であり、わずか数日の自己中断でも再発を招き、命に関わるリスクがあります。

主治医の指示通りに服用を継続することが不可欠です。

脳梗塞と食生活の関係

電子血圧計を使って血圧を測定している様子

脳梗塞は生活習慣と深い関わりがあり、特に高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病が発症リスクを高めます。例えば、塩分や脂質の摂りすぎ、過食といった習慣は動脈硬化の進行につながる可能性があります。

日々の食事内容を見直すことは、脳梗塞の予防・再発予防の基本です。栄養バランスを意識した食事を継続することで、長期的な健康管理につなげていきましょう。

脳梗塞で食べてはいけないもの一覧

木製のカッティングボードに、ブロック状のロースハムやスライスされたチャーシュー、ソーセージ、生ハム、レモンなどが盛り付けられた様子

脳梗塞の患者さんに対して、特定の食品を一律に禁止することはありません。栄養バランスを意識したうえで、発症や再発のリスクに関わるものを調整していきます。

ここでは、脳梗塞の予防と再発防止の観点から注意すべき食品の例を解説します。

塩分が多いもの

塩分の過剰摂取は血圧の上昇につながり、高血圧を悪化させる可能性があります。高血圧は脳梗塞の大きな危険因子であるため、日常的な塩分管理が重要です。

特に、加工食品やインスタント食品、カップ麺、ハム・ソーセージなどの加工肉、漬物などは塩分が多く含まれている傾向があるため、食べる頻度や量はしっかりと管理する必要があります。

脂質が多いもの

脂質(飽和脂肪酸)の過剰摂取は、動脈硬化を進める可能性があります。動脈硬化が進行すると血管が狭くなり、血栓ができやすくなります。

脳梗塞のリスクにも関係するため、揚げ物や脂身の多い肉、バター、ラードといった脂質の多い食品は摂取量を控えめにすることが大切です。

糖分が多いもの

糖分の多い食品を過剰に摂取すると、血糖値の上昇や肥満につながる可能性があります。これらは糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクを高め、結果として脳梗塞の発症・再発に影響することがあります。

日本人を対象にした約18年間の追跡調査では、清涼飲料水をほぼ毎日飲む日本人女性は、ほとんど飲まない女性に比べて脳梗塞の発症リスクが1.83倍に上昇したと報告されています(男性では明らかな差は確認されていません)。糖分を含む清涼飲料水は血糖値や中性脂肪を上げやすく、特に女性で影響が出やすいと考えられています。

脳梗塞の予防と再発防止を意識する方は、清涼飲料水やジュース、菓子類などを習慣的に摂取することは控えましょう。

参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト「清涼飲料水(ソフトドリンク)と循環器疾患発症との関連について」

過度のアルコール

アルコールの過剰摂取は、脳梗塞のリスクを高める血圧上昇や不整脈と関連があります。

日本で行われた大規模研究では、多量の飲酒習慣が脳梗塞の発症リスクを高めることが報告されています。特に、週300g以上(日本酒換算で1日あたり2合以上に相当)のアルコールを摂取する女性では、ほとんど飲まない女性に比べて脳梗塞の発症リスクが約2倍に上昇するというデータがあり、予防のためには飲酒量を抑えることが重要です。

完全に禁止されるわけではありませんが、再発リスクを考えると脳梗塞の患者さんは控えた方が安心です。医師から飲酒に関する制限がある場合は、その指示に従いましょう。

参考:国立がん研究センター 多目的コホート研究「女性における飲酒と循環器疾患発症との関連」

脳梗塞の食事管理

左手でお茶碗を持ち、右手の箸で白米を食べようとしている手元のアップ

食生活は高血圧や糖尿病、脂質異常症といったリスク因子に直結するため、食事内容や量を適切にコントロールすることが求められます。ここでは、具体的な食事管理のポイントを解説します。

減塩を意識する

高血圧は脳梗塞の最大の危険因子とされており、減塩は基本的な対策の一つです。日本高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の人に対して1日6g未満を目標とした減塩食が推奨されています。

味付けにだしや香辛料、酢などを活用することで、満足感を保ちながら塩分を抑えることができます。加工食品やインスタント食品は塩分が多い傾向があるため、日常的な摂取は控えましょう。

参考:日本高血圧学会:さあ、減塩!

野菜と果物を積極的に摂取する

野菜や果物には、カリウムや食物繊維、抗酸化物質などが豊富に含まれています。カリウムは体内の余分な塩分の排出を促し、血圧のコントロールに役立つとされています。

野菜の1日あたりの摂取目標量は350g以上です。食物繊維は血糖値やコレステロールの管理にも関係するため、日々の食事に積極的に取り入れましょう。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「野菜1日350gで健康増進」

良質なたんぱく質を摂取する

たんぱく質は体の維持に欠かせない栄養素です。しかし、脂質の多い肉類に偏ると動脈硬化のリスクにつながる可能性があります。

たんぱく質は魚や大豆製品から摂取するのが望ましいとされています。特に、青魚に含まれるEPAやDHAは血管の健康維持に関係する脂肪酸として知られています。

豆腐や納豆などの大豆製品も、脂質が比較的少なく取り入れやすい食品です。

脂質のとりすぎに注意する

脂質の過剰摂取、特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は動脈硬化を進める要因の一つです。これらは揚げ物や脂身の多い肉、加工肉などに多く含まれます。

同じ脂質でも、植物油や魚の脂に含まれる不飽和脂肪酸には、中性脂肪や悪玉コレステロールを低下させ、動脈硬化や血栓を予防する効果が期待できます。

アルコールは控える

過度の飲酒は高血圧や不整脈の原因となり、脳梗塞のリスクを高めます。できるだけ控えることが望ましく、飲酒する場合でも適量を守ることが重要です。

すでに医師から制限を受けている場合は、その指示に従ってください。

食事量を調整する

肥満は高血圧や糖尿病、脂質異常症などのリスクを高める要因となります。食べすぎに注意し、適切なエネルギー摂取を意識してください。

脳梗塞の患者さんは、規則正しく栄養バランスのとれた食事を心がけることで再発予防を目指しましょう。

脳梗塞と食事にまつわる質問

白い背景の中央に置かれた空の白い丸皿と、その左側に置かれたフォーク、右側に置かれたナイフ

お菓子は食べてもいいですか?

完全に禁止されるものではありませんが、砂糖や脂質が多く含まれているため食べすぎには注意が必要です。

過剰摂取は血糖値の上昇や体重増加につながり、結果として脳梗塞のリスク因子に影響する可能性があります。おやつにはナッツやヨーグルトなど比較的栄養バランスの良い食品を選び、量や頻度はしっかり管理しましょう。

コーヒーを飲んでもいいですか?

コーヒーは1日1〜2杯程度であれば問題ないとされています。ただし、カフェインの過剰摂取は血圧に影響する可能性があるため、飲みすぎには注意が必要です。

カフェインには利尿作用があるため、コーヒーだけで水分補給をしているつもりでも体内の水分が不足することがあります。脱水状態は血液が濃縮され血栓ができやすくなる要因の一つとされているため、コーヒーとは別に水やお茶などで水分を補うようにしましょう。

さらに、砂糖やクリームを多く加えるとカロリーや脂質の摂りすぎにつながるため、できるだけ控えめにするのが安心です。

納豆が血管にいいって本当ですか?

納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓を溶かす働きが研究で報告されている成分です。ただし、納豆を食べるだけで脳梗塞を予防できるわけではなく、効果を期待して大量に摂取することは推奨されていません

栄養価の高い食品の一つとして、全体のバランスを考えながら取り入れることが大切です。なお、ワルファリンを服用している場合は、納豆を食べることはできません。納豆に含まれるビタミンKと納豆菌(腸内でビタミンKを産生)がワルファリンの効果を弱めてしまうためで、量にかかわらず摂取を控える必要があります。同様にクロレラや青汁も避けてください。

参考:ナットウキナーゼ | 日本ナットウキナーゼ協会

参考:PMDA:ワルファリンと納豆等の摂取について

脳梗塞患者におすすめの飲み物はなんですか?

水や麦茶など、糖分やカフェインを含まない飲み物が適しています。これらは体に負担をかけにくく、日常的な水分補給に適しています。

緑茶やウーロン茶、コーヒー、紅茶などに含まれるカフェインには利尿作用があるため、水分補給としては適さない場合があります。過剰に摂取すると体内の水分が失われやすくなり、脱水につながる可能性があるため注意が必要です。

また、糖分の多い清涼飲料水は血糖値の上昇や体重増加につながる可能性があるため、日常的な摂取は控えましょう。

まとめ

木製のトレイに載せられたバランスの良い和食の定食

脳梗塞の予防と再発防止には、バランスの取れた食生活を継続することが欠かせません。無理なく続けられる範囲で食習慣を整え、医師や専門家の指導を受けながら管理していくことが大切です。

「食事で予防するだけで足りるのか」を知るためには、現在の脳血管の状態を一度確認しておくのが確実です。平尾病院の脳ドックでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせてMRI・MRAによる検査を行い、生活習慣と合わせた予防プランをご提案しています。気になることがあれば、一度ご相談にお越しください。

この記事の監修者

平尾病院 医師 三木 浩一

大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。

専門資格

  • 医学博士
  • 日本頭痛学会 専門医
  • 日本脳神経外科学会 専門医
  • 日本脳卒中学会 専門医
  • 日本認知症学会 専門医

略歴

  • 帝京大学医学部 卒業
  • 福岡赤十字病院 勤務
  • 福岡大学病院 勤務
  • 福岡大学救命救急センター 勤務
  • 釧路労災病院 勤務
  • 福岡東医療センター 勤務
  • 白十字病院 勤務
  • 平尾病院 勤務

所属学会

  • 日本頭痛学会
  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本認知症学会

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