脳の病気・症状

Brain disease

耳鳴りは脳神経外科などの医療機関を受診してください。耳鳴りの原因や隠れている病気を解説

後ろ向きの男性が右耳に手を当て、耳を中心に音や耳鳴りをイメージさせる白い波紋のグラフィックが重ねられている

耳鳴りは、外から音がしていないにもかかわらず「キーン」「ジー」といった音が聞こえる症状です。疲れやストレスがたまった時に起こりやすいとされていますが、まれに脳や血管の病気が関係している場合もあります。

特に、脈に合わせて聞こえる耳鳴りや片側だけに続く耳鳴りなどは注意が必要です。

本記事では、耳鳴りの種類と原因、隠れている病気をわかりやすくまとめています。脳神経外科を受診する目安も解説するので、耳鳴りでお悩みの方はぜひ参考にしてください。

耳鳴りについて

横を向いた女性が、左耳に手を添えている様子

耳鳴りとは、外から音がしていないにもかかわらず音が聞こえる状態を指します。「キーン」「ジー」といった高い音や、「ゴー」「ブーン」などの低い音など、聞こえ方は人によってさまざまです。

耳鳴りには一時的に起こるものと、病気が関係しているものがあります。例えば、疲労やストレス、睡眠不足などによる耳鳴りは一過性のものが多いとされています。

また、耳鳴りの症状は、音の種類や強さ、持続時間など個人差が大きいのも特徴です。短時間で自然に治まる場合もあれば、長期間続くこともあります。

耳鳴りは耳の病気だけが原因とは限らず、まれに脳や血管の病気が関係していることもあります。症状が続く場合は、できるだけ早く医療機関に相談することが大切です。

耳鳴りの種類

医師が、デスク上にある耳の構造模型をペンで指し示し、もう一方の手で耳鏡を持っている手元

耳鳴りは、聞こえる音の種類によって考えられる原因や病気が異なります。ここからは音の種類別の特徴を解説するので、セルフチェックの目安として役立ててください。

高音の耳鳴り

「キーン」「ピー」といった高い音の耳鳴りは、ストレスや疲労、睡眠不足によって起こることが多く、日常的によくみられるタイプです。

長時間の騒音環境やイヤホンの大きな音量なども、高音の耳鳴りを引き起こす原因です。また、加齢性難聴や騒音性難聴など、内耳の障害が関係しているケースも多いとされています。

一時的な耳鳴りは大きな問題ではないこともありますが、片耳の聞こえにくさや耳閉感(じへいかん)を伴う場合、または数日以上続く・徐々に強くなる場合は、突発性難聴の可能性も考えられます。

突発性難聴は発症から治療開始までが早いほど聴力の回復が見込めるとされているため、日をまたぐ場合にはまず耳鼻咽喉科を受診しましょう。

重低音の耳鳴り

「ゴー」「ブーン」など低く響くように感じる耳鳴りは、内耳のリンパ液の異常が関係している可能性があります。内耳には「内リンパ液」という液体が存在し、そのバランスが崩れることで音の感じ方に異常が生じると考えられています。

代表的な病気が、メニエール病と低音障害型感音難聴です。メニエール病では、内耳のリンパ液が過剰になることで耳鳴りやめまいが起こるとされています。

このタイプの耳鳴りは、耳が詰まったように感じる耳閉感や、めまいを伴うこともあります。症状が繰り返し起こる場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。

拍動性の耳鳴り

「ドクドク」「ドンドン」「ザーザー」といったように、脈拍に合わせて聞こえる耳鳴りを拍動性耳鳴りといいます。これは実際に血流の音が聞こえている「他覚的耳鳴」である場合が多く、聴診器を当てると医師もその音を確認できることがあります。

このタイプは血管の異常や血流の変化が関係している可能性があります。

必ずしも重症例であるとは限りませんが、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)や動静脈奇形(どうじょうみゃくきけい)、頸動脈狭窄(けいどうみゃくきょうさく)、硬膜動静脈瘻などの血管の病気が隠れている可能性もあるため、早期の受診が必要です。

拍動性の耳鳴りがある場合は、脳や血管の状態を確認するために脳神経外科での検査が必要になることがあります。

耳鳴りの原因と隠れている病気

三半規管や蝸牛など、耳の内耳の構造を立体的に表した解剖模型

耳鳴りの原因で最も多いのが、耳の病気です。突発性難聴やメニエール病、外耳炎や中耳炎などの耳の疾患が耳鳴りの原因になることがあります。

また、加齢性難聴や騒音性難聴のように、聴覚機能の低下に伴って耳鳴りが起こるケースも少なくありません。自律神経の乱れやストレス、疲労も、耳鳴りを悪化させる要因です。

耳の病気以外では、高血圧や動脈硬化、貧血などが耳鳴りを引き起こすことがあります。また、まれではありますが、聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)や脳血管障害などの脳の病気が原因となるケースもあります。

耳鳴りの検査

医師が耳鏡(オトスコープ)のライトを点灯させ、患者の耳の内部を診察している

耳鳴りの原因を特定するには、複数の検査を組み合わせて評価することが一般的です。まずは耳鼻咽喉科で聴力や中耳の状態を確認し、必要に応じてCTやMRIなどの画像検査を行います。

ここからは具体的な検査の内容を解説します。

聴力検査

聴力検査では、専用の機器を使用して音の高さや大きさを聞き取り、難聴の有無や程度を評価します。

耳鳴りは難聴と同時に起こることが多いため、聴力検査によって耳鳴りと聴力低下の関連を確認するのが一般的です。特定の音域だけ聞こえにくくなっている場合は、耳鳴りの原因を推測する手がかりになります。

聴力検査には、音が聞こえるか(感度)を調べる「純音聴力検査」と、言葉を正しく聞き取れるか(理解度)を調べる「語音聴力検査」があり、それぞれ異なる角度から聴覚機能を評価します。

耳鳴検査

患者さんが感じている耳鳴りの音の高さや大きさを測定する検査です。専用の装置を使用し、患者さんが感じている耳鳴りに近い音を探していきます。

この検査では、耳鳴りの特徴を客観的に把握することが可能です。具体的には、補聴器やサウンドセラピーなどの治療方針を決めるために必要な情報が得られます。

また、耳鳴りの感じ方には心理的な要因も関与するため、問診とあわせて総合的に評価することが重要です。

ティンパノメトリー

外耳道に小さなプローブを入れ、空気圧を変化させながら鼓膜の動き方を測定する検査です。この検査では、中耳炎や耳管機能の異常、鼓膜の動きの異常などを調べることができます。

鼓膜の動きのパターンを数値やグラフとして評価することで、中耳に液体がたまっていないかや、耳管がうまく開閉しているかといった状態も客観的に確認できます。痛みがほとんどないため、小さなお子様からご高齢の方まで幅広く実施される検査です。

SISI検査

内耳の障害による難聴(感音難聴)の有無を評価するための聴覚検査です。わずかな音の強さの変化をどの程度感じ取れるかを確認することで、難聴の種類を判別する手がかりになります。

この検査は、内耳の機能に問題があるかどうかを調べる目的で行われることがあり、感音難聴の診断を補助する検査として用いられます。

CT検査

X線を用いて、耳や頭部の構造を画像として確認する検査です。骨の構造を詳しく評価することができるため、中耳や側頭骨の異常などを調べる際に役立ちます。

CT検査は、脳出血や頭部外傷などの緊急性の高い病気の評価にも用いられます。脳神経外科領域でも広く行われるもので、脳の病気が疑われる場合に頭部CT検査で異常の有無を確認することがあります。

また、CT検査は耳小骨の異常や耳硬化症(じこうかしょう)、側頭骨骨折などの評価にも有用です。構造的な異常が疑われる場合には優先的に行われることがあります。

MRI検査

磁気を利用して脳や神経の状態を詳しく確認する画像検査です。CTでは確認しにくい脳の組織や神経の状態を評価できるため、耳鳴りの原因を調べるうえで重要な検査の一つです。

MRI検査は、脳神経外科や脳神経内科で行われることが多く、聴神経腫瘍などの腫瘍性疾患や脳の異常が疑われる場合に用いられます。

聴神経腫瘍は片耳の耳鳴り・聞こえにくさ・耳閉感から始まることが多く、数mmの小さな腫瘍も造影MRIで描出できます。片側だけに続く耳鳴りや進行性の難聴がみられる場合には、MRI検査が強く推奨されます。

MRA検査

磁気を利用して血管の状態(主に脳の血管)を確認する検査です。MRI検査が脳の組織や神経の状態を評価するのに対し、MRA検査は血管の形や血流の状態を確認することを目的としています。

この検査では、脳動脈瘤や血管の狭窄、血流の異常などを調べることができます。脈に合わせて「ドクドク」「ドンドン」「ザーザー」と聞こえる耳鳴りがある場合には、MRA検査によって脳血管の状態を詳しく評価し、耳鳴りの原因となる血管疾患がないかを確認します。

拍動性の耳鳴りは血管性の原因が関与していることが多いため、MRAは非常に重要な検査です。特に、動静脈奇形や頸動脈狭窄などは早期発見が重要であり、見逃さないためにも画像検査が欠かせません。

耳鳴りは何科を受診すべき?

白を基調とした明るい診察室のデスク。机の上には聴診器、パソコン、キーボード、観葉植物などが配置されている

症状が耳鳴りだけであれば、まずは耳鼻咽喉科を受診するケースが多いとされています。耳鼻咽喉科では聴力検査などを行い、耳の病気や難聴の有無を確認します。

拍動性の耳鳴り・片方だけに続く耳鳴り・めまい・頭痛・手足のしびれなどの神経症状を伴う場合は、脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。これらの症状は脳や血管の病気が関係している可能性があるため、MRIやMRAなどの画像検査が推奨されます。

また、聞こえにくさを伴ったり突然発症する耳鳴りは突発性難聴の可能性も考えられます。突発性難聴は発症から早期に治療を開始することで回復が期待できます。

耳鳴りの原因はさまざまであるため、症状に応じて耳鼻咽喉科と脳神経外科が連携して診療を行うケースもあります。気になる症状がある場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。

まとめ

病院の検査室に設置された、MRI装置

耳鳴りの原因は耳の病気だけでなく、神経や血管、全身の病気など多岐にわたります。多くの場合は耳の病気や難聴、ストレスなどが関係していますが、まれに脳や血管の病気が隠れていることもあります。

耳鼻咽喉科で異常が見つからない耳鳴り、片側だけの耳鳴り、めまいやふらつきを伴う耳鳴りは、脳由来の可能性も視野に入れた精査が安心です。

「この耳鳴りは脳が原因なのか」を確かめるためには、耳鼻咽喉科で異常が見つからなかった段階で脳神経外科に相談することをおすすめします。平尾病院では、患者さん一人ひとりの症状を丁寧にうかがったうえで、MRI・MRA検査による精査を行っています。長引く耳鳴りが気になる方は、一度ご相談にお越しください。

この記事の監修者

平尾病院医師 三木 浩一

大正15年創業以来、地域に根ざした脳神経外科診療を担っています。脳卒中・頭痛・認知症など幅広い脳神経疾患に対応するとともに、リハビリテーション医療や慢性期医療にも注力。お子様からご高齢の方まで、患者さん一人ひとりの背景や思いに寄り添った医療の提供を目指しています。

専門資格

  • 医学博士
  • 日本頭痛学会 専門医
  • 日本脳神経外科学会 専門医
  • 日本脳卒中学会 専門医
  • 日本認知症学会 専門医

略歴

  • 帝京大学医学部 卒業
  • 福岡赤十字病院 勤務
  • 福岡大学病院 勤務
  • 福岡大学救命救急センター 勤務
  • 釧路労災病院 勤務
  • 福岡東医療センター 勤務
  • 白十字病院 勤務
  • 平尾病院 勤務

所属学会

  • 日本頭痛学会
  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本認知症学会

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